家族や友達と楽しく充実した時間を過ごすための娯楽施設でも、1人でも多くの人が楽しめるように様々な工夫がなされています。ここでは、スポーツ施設や映画館、コンサートなどが行われる市民ホールといった娯楽施設におけるバリアフリーの取り組みを紹介します。
各地に様々なスポーツ施設がありますが、中には身体に障害を持った人も安心して利用できる施設も増えています。
もちろん、一般の人も利用可能なので、一緒に汗を流すこともできます。バリアフリー設備が整えられていることが多い主な施設を見てみましょう。
老若男女、誰でも楽しめるスポーツの一つに、ボウリングがあります。ボウリング場には、音声誘導装置や点字で得点を表示する装置などが備えられています。
さらに、凹凸を触ることで、残りのピンが何本立っているのかが分かる装置や、握力の弱い人が持ちやすいように取っ手の付いたボールも用意されています。
取っ手はボールを投げた瞬間に、中に引っ込むしくみになっています。
縁が床から約45cmと車椅子座面の高さと同じくらいに設定されているため、車椅子利用者や下肢障害の人が出入りしやすいプールがある場合もあります。
また、施設によっては、通常よりも水深の浅いプールが、障害者専用として設けられていたりもします。
このほか、専用リフトがあるところでは、自力でプールに入ることができない人も、リフトを使えば簡単に入ることができます。
視覚障害者でもガイドの人がいなくても、1人で走れるランニングコースを備えているスポーツ施設もあります。このようなランニングコースでは、天井からロープが下げられています。
モノレール式のガイドロープにつかまりながら、ランニングができるしくみになっています。
また、壁などにぶつかって怪我をすることのないよう、クッション材で保護するなどの工夫が施されています。
野球場も、近年バリアフリー設備が整えられるようになってきた場所の一つです。
特に新しく建設される野球場などは、はじめから車椅子利用者用の席が設けられています。 車椅子用エリアでは、簡易椅子を借りて介助者も一緒に観戦することができます。
ただ観戦設備自体は整っていても、駐車場がなかったり、駅から野球場までのアクセスに問題がある場合などもあります。事前に電話などで確認してから出かけることをお勧めします。
今はDVDなどを使えば、自宅にいながらにして映画を楽しめる時代ですが、映画館の大きなスクリーンで観るのも良いものです。
また、時には市民ホールなどで観劇をするのも楽しいでしょう。一人でも多くの人が、楽しく過ごせるように、映画館や市民ホールでは様々な取り組みが行われています。
洋画は日本語の吹き替え版や字幕版があるため、自分で観たい方を選ぶことができます。ですが、邦画の場合は、字幕が付いていないことがほとんどです。
邦画も字幕が付いていれば、より多くの人が映画を楽しめるでしょう。
日本語字幕なら聴覚障害者、また英語字幕であれば外国の方というように、観る人に合わせて字幕言語の種類もいくつかあることが理想です。
市民ホールなどでは、外国語で上演されるミュージカルやオペラの場合、舞台の端などにある電光掲示板に歌詞やセリフが字幕として表示されることがあります。
映画館の字幕同様、外国語だけではなく、歌詞やセリフが日本語の場合でも、そのまま日本語の字幕表示があると、より多くの人が楽しめます。
視覚障害者が映画を観たり観劇の際には、音声ガイドが役立ちます。施設によっては、イヤホンで聞く音声ガイドを用意している場合があります。これは場面転換やセリフの合間に、その時の場面を解説したり、物語のあらすじや配役、衣装などを音声で伝えるものです。
車椅子席を備えている映画館も多くあります。
映画館の規模によって席の配置が異なり、小規模劇場では最前列、中~大規模劇場では前ブロック後方の端(通路付近)となっているのが一般的です。
また、市民ホールなどでも車椅子席を確保するため、同様の方法が取られています。車椅子席が用意されているとはいえ、快適さの面から見ると、多少問題があることも事実です。